港湾作業

日本海事センターによると、2019年時点で日本の貿易に占める海運の割合(重量ベース)は、なんと99.6%[1]に上ります。日本の貿易の要である海運の港での作業を効率化することは、社会経済の基盤の維持・発展においてとても重要です。

コンテナ積み下ろしの遠隔操作

港に入ってきた船舶に積まれたコンテナは、巨大なクレーンで陸に下ろされます。クレーンの操縦席は地上数十mの高さにあり、UFOキャッチャーのように、船に積まれたコンテナをつかんで下ろします。現在、世界中の主要港でこの積み下ろしの遠隔操作の導入が進められています。遠隔操作で、1個数トン~数十トンあるコンテナを、できるだけ素早く正確に安全に運ぶためには、クレーンに複数のカメラを付け、さまざまなアングルからの詳細な映像を、タイムラグなくクレーンから操作室に伝達する必要があります。

また、クレーンの遠隔操作に加えて、コンテナを運ぶ車両の自動運転や、コンテナのモニタリング管理に、超高速・低遅延の5Gの活用が期待されています。

中国での導入例

年間2000万TEU[2](コンテナ2000万個分)のコンテナ取扱量を誇る中国の青島港では、2017年以降、5Gを介した遠隔操作によるコンテナの積み下ろしを行っています。これまでは、一つのクレーンにつき一人の操縦者が乗り込み、操縦していましたが、遠隔操縦になったことで、一人で複数台のクレーンを監視・操作することが可能になりました。青島港の5G導入に参与しているEricssonは、従来の港と比較して5Gによる遠隔操作を導入した港は「人件費を最大70%節約できる[3]としています。